【日本語訳は参考となりますので、詳細は原文をご確認ください。】
DANアメリカ記事
DANヨーロッパ記事
その他
◉UHMS
:COVID-19罹患後のダイビング復帰に関するQ&A
◉UHMS
:COVID-19パンデミックにおけるダイバー健診に向けてのUCサンディエゴガイドライン
◉SBMHS-BVOOG
:COVID-19肺感染症後のダイビングについての声明
※2021/12/21更新
【日本語訳は参考となりますので、詳細は原文をご確認ください。】
◉UHMS
:COVID-19罹患後のダイビング復帰に関するQ&A
◉UHMS
:COVID-19パンデミックにおけるダイバー健診に向けてのUCサンディエゴガイドライン
◉SBMHS-BVOOG
:COVID-19肺感染症後のダイビングについての声明
※2021/12/21更新
SBMHS-BVOOG(ベルギー潜水・高圧医学会)より、「COVID-19肺感染症後のダイビングについての声明」が発表されています。
下記よりPDFをダウンロードできますので、参考にしてください。
※本声明は、4月12日に発表されたものであり、その後、EUBS–ECHM(欧州水中高圧医学会及び欧州高気圧医学会)から、潜水制限についてほぼ同趣旨の声明がだされています。この声明の内容は今後変更されることがあることに留意してお読みください。
UHMS(UNDERSEA & HYPERBARIC MEDICAL SOCIETY:アメリカの高気圧潜水医学会)ホームページにて、COVID-19のパンデミック後にダイビング適性についての評価を行う際のガイドラインが掲載されました。(ドクター向け)
以下より、日本語訳をダウンロードできますので、参考にしてください。
【COVID-19パンデミックにおけるダイバー健診に向けてのUCサンディエゴガイドライン】
原文はこちら
【UC San Diego Guidelines for Evaluation of Divers during COVID-19 pandemic】
※UHMSのCOVID-19関連情報はこちらからご確認いただけます。
DANヨーロッパより、ダイビングツアーや講習に参加する方に記入していただく、COVID-19に関する声明書が出されました。(ダイビング事業者向け)
以下より翻訳したもの(Word)をダウンロードできますので、参考にしてください。
原文はこちら
【Declaration_form_COVID_EN】
原文はこちら:【Dive Operations and COVID-19 : Prepping for Return】
※5/22現在
翻訳:DAN JAPAN COURTESY DAN US
ほとんどのダイビングビジネスが、全国規模あるいは地方レベルでの自粛要請によって営業を停止していますが、ダイバーもダイビング事業者もダイビングに戻れる日を心待ちにしています。自粛要請が、なんとか解除された時にダイビングを再開する準備をしておくのに早すぎるということはありません。以下のQ&Aは、ダイバーやダイブプロフェッショナル、ダイビングビジネスのオーナーから寄せられた質問を基にして編集したもので、誰もが安全に水に復帰するための準備を整えるのに少しでも力になりたいと考えて作成したものです。
誰にでも当てはまる基本的ルールをいくつかあげると以下のようになりますが、これは、どんな活動をするかにかかわらずスタッフにもお客様にも係わるものです。
•石鹸と水で少なくとも20秒、定期的に、手を隅から隅まで洗います。あるいは、アルコールベースの手指消毒剤を使います(酸素富化ガス、すなわち、ナイトロックスで作業している場合は除く)。
•人との間隔を少なくとも2m(6フィート)保ち、他の人に直接触れないようにする。
•目や鼻、口に触らないようにする。
•あなたとあなたの周囲の人が正しい呼吸器の衛生管理を確実に行うようにする。咳やくしゃみをする時は肘やティッシュで覆い、そのティッシュは決められた方法で廃棄します。
•CDC(アメリカ疾病管理予防センター) では、人との間に一定の間隔をとることができないような公共の場では布で顔を覆うことを推奨しています。その地域でマスク/顔を覆うことに関する指示がある場合には、それを確実に守ってください。

以下の勧告は、私たちの業界の現実を認識しつつ、できるだけ責任を持ち、かつ、安全を確保して、事業を再開できるようにするために考慮すべき事柄として考えられたものです。ひとつとしてまったく同じダイビングビジネスもダイビング業務もありません;それぞれの事業者にはそれぞれの考えがあるでしょう。もちろん、役に立つ情報を提供しようとは思いますが、すべての事業者がすべてのものを採用できるとは考えていません。そうではなくて、ダイビング事業者が、現実的に可能な方法を実施して、スタッフやお客様、そして事業そのものの安全を高めていただければ、と思う次第です。
スタッフをCOVID-19から守るにはどうすればよいですか
従業員に関しては、WHO(世界保健機関)やCDC(アメリカ疾病予防管理センター)が公表しているような、一般的なCOVID-19 安全勧告を適用してください。スタッフがお客様と直接接するような場合は、顔を保護するマスクやグローブを使うことを考えてください。一定の場所にいる人の人数を減らすことやスタッフ専用の場所を指定するというのもよいでしょう。コンプレッサーや器材メインテナンスエリア、レンタル器材エリア、事務所や教室については、一時的にお客様の立ち入りを禁止にして、ウイルスが拡がらないようにします。お客様には、一定の距離をとり、ダイビングが終わったら自分の器材を確実に消毒するようにしてもらってください。
感染を完全に防ぐことはできませんが、感染予防の基準を設け、それを実施することで確実にリスクを下げることはできます。以下のものがすべてだというわけではありませんが、しっかりした除染方法を作成し実施する、お客様がお互いに密集しないようにする、建物内の空気の流れる量を少なくする(空気中に浮遊するウイルスの飛沫が回らないようにするため)、そして非常に重要なのは、お客様にいろいろ尋ねて調査してから、トレーニングセッションやダイビングに参加させる、などがあります。症状があるお客様には、ダイビングや関連する活動には一切参加していただかないようにします。除染の方針をはっきりと掲示し、お客様が実際に活動に参加する前に、確実にそれが周知されているようにします。
たった一人感染者がいればウイルスは拡がります。お客様は自分が感染していることがわからないかもしれませんし、感染者と接触したことを否定する、あるいは、たいしたことがない症状だからCOVID-19とは関係ないと考えるかもしれません。ですから、少しでも具合がよくないところがあるかどうか尋ね、もしあれば、自宅にいるように勧めるか、あるいは、お医者さんにいくように勧めることが重要です。払い戻しや予定の変更なども考えなければならないかもしれません。また、尋ねてくる人たちを、ダイビングや関連する活動に参加する人だけに制限する必要があるかもしれません。
一定の間隔を空けることは必要ですが、COVID-19の感染を防ぐには、それだけでは十分ではありません。一定の間隔をあければ、人と人の間での感染を少なくすることはできますし、マスクを使えばさらにリスクを下げられるでしょう。お客様は、器材や商品に触るでしょうから、グローブを用意し、正しくそれを使うようにすること、それに、手指消毒剤や手洗い設備を用意することも必要になるかもしれません。また、店舗エリアの在庫や物品を減らすことも考える必要があるかもしれません。というのも、そうすれば除染が必要な量が少なくなるからです。
距離を空けての学習やeラーニングを提供できるなら、お客様とスタッフの間でのCOVID-19の感染リスクを減らす方法として適切です。それができないなら、教室の設定を変えて、一定の距離を空けるという条件を満たすように考えてみてください。受講生にマスクをつけるように、また、クラスでの活動の前後に手を洗うようにお願いしてください。クラスでの活動で、器材を使う場合、受講生が使うときにはその度に必ず除染するようにします。机や椅子は、毎日、あるいは、違う受講生が使う場合には必ず除染します。ショップに来そうな人には、受講生も含めて、質問をして、症状がないこと、それに、感染者と接触したことがないことを確認してください。
更衣室には、高い汚染のリスクがあります。お客様の持ち物(衣服も含む)は、共用している表面と接触しないようにして収納してください。ロッカーに入れるなら、ロッカーは使用後必ず消毒しなければなりません。できるだけ接触のリスクをなくすために、自分の持ち物をビニール袋に入れるようにお客様にお願いすることも考えてください。浴室も特に注意すべき場所で、定期的に除染するようにします。シャワーは一時的に閉鎖して、ホースを取り付け、外で器材を洗うようにしてもよいでしょう。お客様には、自宅でシャワーを浴び、器材を洗うようにお願いします。
除染作業は既存の作業手順に追加するようにしてください。この手順は、その地域、自治体、国の除染に関するガイドラインに従います。また、スタッフは、除染のプロトコルに関して完全なトレーニングを受けさせてください。業務でよく触る表面がどこかを見つけ、こうした場所を定期的に確実に除染します。たとえば、浴室やカウンター、ドアノブ、スタッフやゲストがよく触るような他の表面ですが、ここだけに限られるわけではありません。
どの除染剤を使うにせよ、メーカーの指示する使用方法を守ってください。その後に、きれいな水で十分に濯ぎ、器材が完全に乾いてから使用します。除染剤の選び方に関する、さらに詳しいことは、以下を参照してください。 Disinfection of Scuba Equipment and COVID-19(スクーバ器材の除染とCOVID-19)。
アルコールベースの消毒剤は、酸素富化(ナイトロックス)ガスと両立しないことに注意してください
アルコールベースの手指消毒剤を使ってからタンクの充填をする場合は、手が完全に乾いて、アルコールが全て蒸発していることを確認してください。
器材は除染するのがよいですが、特に、顔や目、口に接触するものは特に除染が必要です。除染する器材には、以下を含みますが、それだけに限られるわけではありません:
•セカンドステージレギュレータのマウスピースと内部の表面
•スノーケル
•BCDのオーラルインフレータ
•マスク
どの除染剤を使うにせよ、メーカーの指示する使用方法を守ってください。その後に、きれいな水で十分に濯ぎ、器材が完全に乾いてから使用します。除染剤の選び方に関する、さらに詳しいことは、以下を参照してください。Disinfection of Scuba Equipment and COVID-19(スクーバ器材の除染とCOVID-19)。

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は、よく触る表面はすべて除染するように勧めています。ダイビングショップでは、こうした場所には、ドアノブや浴室、カウンター、カード読み取り機、充填ステーション、器材組立台、共用のツール、コンピュータのキーボードとマウスなどがありますが、これだけに限られるわけではありません。どの除染剤を使うにせよ、メーカーの使用上の注意を守ってください。
どの除染剤を選ぶべきでしょうか、また、どのように使うべきでしょうか
除染剤の選び方はあなた次第です;しかし、COVID-19を引き起こすウイルスに対して効き目があることが示されているものを使わなければなりません。EPA(アメリカ環境保護庁)の“リストN”は、このウイルスを殺す除染剤を網羅しています。どの除染剤を使うにせよ、メーカーの指示に従ってください。というのも、濃度と使用時間が製品によって違うからです。詳細については以下で分かりますhere。
新型コロナウイルスを殺すのに器材をどのくらいの時間除染剤に漬けておくべきでしょうか
これは、どの除染剤を使うかによるとしかいえません。除染剤を選ぶための詳しい情報については Disinfection of Scuba Equipment and COVID-19 (スクーバ器材の除染とCOVID-19)を見てください。
「世界保健機関:WHO」によれば、70%のアルコール溶液に1分間接触させれば、新型コロナウイルスは不活性化しますが、これは、この時間の長さ表面を濡らしておかなければならないということです。しかし、イソプロピルアルコールは、繰り返し使うと、ある種のゴムやプラスチックを劣化させる可能性がありますので、メーカーに問い合わせて、使っても器材が劣化しないかどうか確かめるように勧めます。さらに、熱や火気、スパーク、エンリッチドガスの近くでアルコールを使う場合、アルコールは揮発性と可燃性が高いので、火災や爆発の危険性が高くなることに注意してください。
理論的にいえば、熱は新型コロナウイルスを殺すのに効果的です。しかし、残念ながら、スクーバ器材に付着したウイルスがどのくらい生存するかに関して実施された研究があるとは聞いておりません。熱を使う方法は、時間的な効率からいって最もよい方法とはいえないかもしれません。ある研究によると、華氏140-155度(60-68℃)の間の温度なら30-60分でウイルスは不活性になるとされています。スクーバ器材をこれだけの時間、この高温にさらすのは、いくつかの理由から、あまりよくないように思われます— ひとつには、部品の一部がダメージを受ける、あるいは、変形するというもので、もうひとつは、専用の湯せん器を使うか、その時間温度を一定に保つように常に監視し加熱システムを調整しなければならないからです。
新型コロナウイルスを殺す温度を確定するために行われた研究はかなりの数に上ることにも注意しなければなりません。先に挙げた温度は、テストされた範囲の下限として選ばれていて、この数値は科学界で一般的に受け入れられている、60℃でほぼ1時間という除染方法とかなり合致しています。
SARS-CoV-2、すなわち、COVID-19を引き起こすウイルスに関する研究は、現在なお進行中で、専門家たちは、似たようなウイルスについての知識を用いて答を探さざるをえなくなっています。ヒトコロナウイルス229Eはプラスチックの上で2-6日、スチールやガラス、PCV、シリコン、テフロンTM、セラミックの上で5日、ラテックスで8時間まで、アルミニウムの上で2-8時間生きられることがわかっています。SARS-CoV-1ウイルスは、プラスチックの上で9日、金属で5日、紙で4-5日、木材やガラスで4日生き残ることがわかっています。SARS-CoV-2の研究では、プラスチックとスチールの上で2-3日、段ボールで24時間、銅で4時間、飛沫(咳やくしゃみによる)の中で3時間まで生き残ることがわかっています。繊維の上でどのくらいSARS-CoV-2が生き残れるかについてのデータはほとんどありません。除染はたとえば、一定の距離を保つといった行動も併せて行えば、レンタル器材を使っているダイバー間でのウイルス感染リスクを下げるのに重要な役割を果たします。さらに詳細については、以下を参照してください。 COVID 19: Surface Survival Times(COVID-19:表面で生き残る時間)。
感染するなら、そのリスクは水のタイプによって違いますか。つまり、水泳プール、自然の淡水/海水、器材洗浄用の容器などで違いますか。除染剤を水に加えると、ウイルスは不活性にすることができますか。一般のハンドスープを器材洗浄用の容器に入れるのはどうでしょうか
共用器材で使う洗浄用タンク内で新型コロナウイルスが感染するかどうかはわかっていません。しかし、他のコロナウイルスでの研究では、ウイルスが湖や河川の表面水で十分生き残ることがわかっています。この研究を念頭において考えれば、このウイルスは洗浄用容器内で生き残るし、薄められるとはいえ、感染力は残ると考えた方がよいでしょう。CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によれば、このウイルスは適切に処理された水泳用プールでは不活性になると考えられますが、水泳プールで器材を洗うのは除染の方法としては受け入れられません。
除染溶液は、メーカーの指示を守って使わなければなりません。また、この指示には、具体的な希釈の要件や、除染した品物を十分濯いで乾かすように指示する説明も入っているのが普通です。ですから、除染溶液は、きれいな水の洗浄容器とは別に、混合して使うようにしてください。この場合、最もよいやり方は、ダイバーに器材を除染してもらってから濯いでもらって、洗浄水が汚染されないようにすることです。ハンドソープは除染する選択肢としては使えません。「合衆国環境保護庁(EPA)」には、“リストN”といわれる、このウイルスを殺す除染剤のリストがあります;除染剤は、このリストからか、他の地方自治体に登録されていう除染剤のなかから選ぶようにしてください。
保護グローブを使って保護されるのは、それを着用している人の手だけです。環境やそこにいる他の人たちを保護することはありません。用具を扱っている人には役に立つでしょうが、もしウイルスがグローブの外側にあれば、用具類が汚染されないように保護してくれることはありません。
アルコールベースの手指消毒剤は石けんと水が手に入らない場合にだけ推奨されるものです。アルコールベースの物質は器材のあるものと接触させるべきではありません。たとえば、酸素富化空気(ナイトロックス)で使われるタンクや充填ホースなどです。それによって、火災や爆発のリスクが高まります。アルコールの揮発性が高いのと、比較的低温でも引火する性質のためです。
いくつかの研究によれば、新型コロナウイルスは、ほんの数時間生き残るというのもあれば、9日間の長さまで表面で活性の状態を保つようだというのもあります。どれほど生き残れるかは、状況によって違うでしょう(たとえば、表面のタイプ、温度、湿度)。複数の研究によれば、このウイルスは、簡単に手に入る製品を使った単純な除染方法で不活性にできることが明らかにされています。夕方、事務所を出る前に除染を行っておくようにするとよいでしょう。
引き続き器材のレンタルは可能ですが、これまで以上の注意が必要です。以下に注意点をいくつかあげますが、これだけに限られるわけではありません:
•レンタルエリアへの出入りを制限する:レンタル器材を外でお客様に渡す。
•戻ってきたレンタル器材を完全に消毒する。その際、選んだ除染剤の使用方法に従う。これには、レギュレータのセカンドステージ、BCD、ウェットスーツ、スノーケル、マスクも含まれます。きれいな水で完全に濯ぎ、乾かしてから、次に貸し出します。
•レンタル器材の返却は別の場所にして、すでに除染してある器材が汚染されないようにします。
•お客様に、スクーバユニットを組み立てる際と外す際に、タンクバルブの出気口とレギュレータの入気口に触れないよう注意します。別のやり方として、事前に組み立ててあるレンタル機材を提供することを考え、ダイビング後、器材を取り外さないように注意するという方法もあります。スタッフが手を消毒してあるか、グローブをしていれば、これによってタンクバルブの出気口とレギュレータファーストステージの入気口を汚染しないようにできるでしょう。
•使用済みのレンタル器材を扱うスタッフに、正しい除染方法と自分を守る方法を指示します。
•お客様が何日か一緒にダイビングをするなら、レンタル器材にラベルをつけます。そうすれば、お客様はいつも同じ器材を使えます。これ以外に指摘されている勧告も引き続き適用されます。
ダイバーひとりひとりに専用のマウスピースを使わせるのであれば、それによってある程度汚染されるリスクを下げられるでしょう。しかし、吐いた息はセカンドステージに入るでしょうし、レギュレータ内部を汚染する可能性はあります。正しく除染されていなければ、このレギュレータを使う次の人が感染するかもしれません。一人一人が別のマウスピースを使うのに加えて、正しい除染を行わなければなりません。
BCDのブラダーの中でこのウイルスが生き残れるかどうかは分かっていません。ダイバーに対しては、レンタルのBCDにオーラルで息を吹き込まないように注意してください。吹き込むと、ブラダー内部が汚染されるリスクが高まるからです。
口で給気したBCDは、ウイルスが生存すると予測される期間、できればサービスから外すことを考えてください。こうすることで、ダイバー同士の感染リスクを小さくできるでしょう。また、用心深い方法として考えられるのは、BCDから優しく空気を放出するようにするというものです(口で空気を入れた場合)。というのも、このウイルスは、理論的にいえば、潜降しようとしてBCDから空気を抜くと、BCDから出る水滴とともに噴霧されるかもしれないからです。
BCDの除染に関して、最もよいやり方はBCDの外側を完全に除染し、かつ、口で給気をしないことです。BCDのブラダーの除染に関する勧告については、明確なものはありません。除染溶液を使用する場合は、その後で必ず淡水で濯いで活性成分を取り除いてください。こうすることで、除染剤を吸い込むとか、飲み込むことがないようにできますし、時間が経ってから活性成分によって器材が劣化することも防げます。BCDブラダー内部の除染溶液の残りを吸い込んだり飲み込んだりすることでダイバーの健康に影響があるとか、あるいは、ブラダーの素材に悪い影響があるかどうかは、はっきりしていません。

マスクや他の器材で、お客様が手にしたものがあれば、適切に除染し、淡水の清潔な水で濯ぎ、乾燥させるようにしてください。特にダイビングマスクの場合は、アルコールや他の除染剤で拭くという方法を使ってもよいでしょう。ウェットスーツは試着させないようにしてください。しかし、どうしても試着する必要があるなら、試着した後に貸出用の在庫から外して、9日間保管してウイルスが自然に死ぬのを待ちます。
新型コロナウイルスは非常に小さいので、コンプレッサーのフィルターをすり抜けてコンプレッサー内部に入ることは理論的にはあり得ます。コンプレッサーは圧縮の各段階を通ると、150°F(65℃) 以上に空気を熱します。さらに、各段階で、ピーク(圧縮の際に生じる近似断熱加熱による瞬間温度)は、シリンダー内部で少なくとも360°F(182°C)になり得ます。これは、コンプレッサーが冷たいか暖かいかに係わりません。ですから、これは複数回生じます。この温度は、感染力を除去するのに十分なだけ高温です。ですから、充填時に生きているウイルスはスクーバタンク内には入らないはずです。しかしながら、感染者が充填ホースやタンクバルブに触るなどして、汚染されていれば、タンクに入る可能性はあります。このため、手洗いの励行と、タンク置き場や充填ステーションも含めて、よく手を触れるエリアの除染が重要になります。詳細については、Disinfection of Scuba Equipment and COVID-19(スクーバ器材の除染とCOVID-19)の“熱”のセクションを参照してください。
この状況は、狭い空間で人が混雑するために、感染のリスクが高い状況だといえます。最低でも、以下の提案を考慮してください:
・一艘のボートに乗船するダイバーの数を減らして、ソーシャルディスタンスを守れるようにし、ダイバーでない乗客は乗らないようにする。
・ダイビング活動や安全のために必要としない物はすべて、船に積まないようにします。
・すべての器材を積んでから、ダイバーに乗ってもらうようにします。
・スクーバユニットを組み立ててもらってから、ダイバーに乗船してもらいます。
・マスクやスノーケル、セカンドステージ/マウスピースをビニール袋などでカバーして汚染されないようにします。
・乗船の手順は、常にソーシャルディスタンスを守って整然と行ってください。
・ダイビング前にマスクを洗うバケツは使わないようにします。曇り止めを使い、唾でマスクの曇り止めはしないようにいうか、禁止します(特に、レンタルマスク)。レンタルをするのはやめて、ダイバーが自分のマスクを使うようにさせることを考えてください。
・スタッフが器材を扱う時は、グローブをつけるようにします。
・ソーシャルディスタンスはウイルスの拡散を防ぐのに重要ですが、動いているボートや風の中では、ウイルスが長い距離動くかもしれないことを頭に入れておかなければなりません。マスクを使えば、汚染されるリスクは小さくなるでしょうが、ウイルスは船の上のどんな表面にもいる可能性があります。
・船の上の全員に、できれば何にも触らないように、また、顔を触らないように注意してください。
・ダイバーたちに、器材を共用しないこと、あるいは、自分の器材に触らせないように注意してください。
・ダイバーがエントリーする時、ソーシャルディスタンスを確保し、また、水面で一カ所にまとまらないようにします。
・水面やダイビング後に、鼻や副鼻腔、喉などをきれいにする時、少なくとも6フィート(約2m)空けておくようにダイバーに注意します。
・ダイバーがボートに戻るとき、ソーシャルディスタンスを確保します。
・ダイバー全員に前もって組み立てた器材を提供することにした場合は、乗組員がタンクを交換するようにし、また、交換する前に手を消毒するか、グローブを着用するようにしなければなりません。
・ダイバーたちが自分の器材だけを扱うように注意してください。
現場での規制で許可が下りた時に、ダイビング活動を再開する準備をするための情報をさらに知りたいなら、DAN.org/COVID-19 に注目して、より広範な勧告を確認し、再開の準備の参考にしてください。
原文はこちら:【Disinfection of Scuba Equipment and COVID-19】
新型コロナウイルスは、SARS-CoV-2ともいわれますが、COVID-19感染症を引き起こし,この文章を書いている時点で、世界で87,987もの人が亡くなっています(1)(注:5月14日現在では、29.4万人ともいわれている)。SARS-CoV-2は、“コロナ”(ラテン語で“王冠”あるいは“後光”の意)というウイルスグループの一部で、その表面についているタンパク質のパターンによってそういわれます(2)。このウイルスのグループは毎年発生する急性の呼吸感染症の原因の15%-30%を占めると見積もられています(3)。しかし、現在のパンデミックの結果、この数値は急激に変化しています。 COVID-19は、呼吸分泌物を介して様々な形で拡がります。咳やくしゃみで出た飛沫や、ウイルスで汚染された表面に触れる、ウイルスの保菌者との濃厚接触などといった形からです(2)。このウイルスの潜伏期間は2-14日です(2)。ある研究では潜伏期間の中間値を5.1日としており、患者の97.5%は11.5日で症状を発症しています(3)。

コロナウイルスはエンベロープ型のウイルスのグループに属します。これは、ウイルス粒子(宿主の細胞の外にいる場合にウイルスがとる形態)が油性の脂肪膜に保護されているということです(4)。ほとんどのエンベロープ型のウイルスと同様に、この脂肪層を傷つけるか破壊すると、ウイルスは不活性化します。他のコロナウイルスの研究から、その感染力は熱やUV光線、アルカリ、あるいは、酸性の状態で低下することが示されています(5)。それゆえに、また、エンベロープ型のウイルスは一般的には簡単に不活性化されるという事実があるため、物の表面を家庭用洗剤で除染することが可能です(6)。
SARS-CoV-2に関する研究は進行中なので、それが表面でどのくらい生きていられるかについては論争があります。最近の研究では、飛沫(くしゃみなどからの)の中では3時間、銅の上では4時間、段ボールでは24時間、プラスチックやステンレスでは2~3日と示されています(7)。しかし、水中でSARS-CoV-2がどのくらい生きていられるかは定かではありません。SARSウイルス、SARS-CoV-1と呼ばれ、2003年の流行の原因となったウイルスの研究では、表面水(湖沼、河川、干潟等)および事前に加熱殺菌した下水の中で、低温と通常の環境温度の両方で長期間感染力を保つことが示されています(8)。塩素または臭素塩素で殺菌されたプールと温水浴槽では、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)から、SARS-CoV-2は不活性化するだろうと示されています(9)。
SARS-CoV-2に関するデータは極めて少なく、しかもそのほとんどは、予備的な試験です。このような場合に、科学者たちは、関連しているけれども少し死滅させるのが難しいウイルスたちに目を向けます。新型コロナウイルスの場合、データレポートの中にはSARS-CoV-1ウイルスに基づくものがあります。これは、それが新型コロナウイスルより死滅させにくいからです。ある研究では、SARS-CoV-1ウイルスは133°F (56°C)で15分熱せられると感染力を失うことが示されていますし(5)、また、世界保健機関(WHO)はこの温度と時間を指定しています(10)。もうひとつの研究では、SARS-CoV-1ウイルスは40°F (4°C)から98°F(37°C)の間では安定していて、133°F(56°C)で30分おくと、感染力を失うとされています(11)。
Divers Alert Network(DAN)では、コンプレッサー内に汚染された空気が取り込まれた結果、このウイルスがスクーバタンク内に入るのかどうかという質問を受けています。空気圧縮の過程では、理想気体の公式T2 = T1 x (P2/P1)(n-1)/nを使って、4段圧縮のコンプレッサーで1ATAの吸入圧力で環境温度が80°F(26.6℃)として、これを29 ATA、すなわち、4000 psiに空気を圧縮する場合の計算をすると、タンク内の段階間の温度は224 °F(106.6℃)になることが分かります。この計算はまったく基本的なもので、理想状態であることしか考慮していません。しかし、これはまさに圧力がピークになる際の瞬間温度を示しています。
実際に、出気バルブの温度はおそらく170°F-190°F(76.6℃-87.7℃)で、気体の温度はだいたい150°F(65.5℃)で、これがコンプレッサーの各段階で起こっています(すなわち、4段階コンプレッサーの4つのサイクルは、各段階の出気口温度が同じと仮定しています)。この温度は間違いなくSARS-CoV-2を死滅させるだけ高温なので、万一、感染した者がコンプレッサーの空気取り入れ口で咳をしたとしても、COVID-19はこの過程でほぼ生き残ることはないといえるでしょう。人から吐き出される感染飛沫は0.5ミクロンほどしかないことに注意する必要があります;フィルターシステムだけでは、これを取り除けませんが、ウイルスはその段階で死滅するはずです。
しかし、手にウイルスがついていると、それが感染したためであっても、間違ってウイルスのついた表面に触ったためであっても、タンクバルブや充填ホースに触った場合、ウイルスがこのルートでタンク内に侵入する可能性があります。ウイルスの中には極めて圧力耐性があるものがいることが分かっています— ダイビングガスの貯蔵圧力のオーダーで。こうした研究は、そうはいっても、ノロウイルスというエンベロープ型ではないウイルスタイプで行われたもので、このタイプのものはエンベロープ型のウイルスより死滅させるのが難しいのが一般的です(12、13)。他の研究で、インフルエンザウイルスのようなエンベロープ型のもので行われたものは、289.6MPa(42,003PSI)という高水圧での効力を調べたに過ぎません(14)。ですから、手洗いと、よく手を触れる、タンク置き場や充填ステーションの除染を行うことが非常に重要になります。ウイルスがダイビングガスの貯蔵圧で生き残れる可能性があるからです。
第4級アンモニウム化合物は(quats)は洗浄溶液中の活性成分としてごく一般的な化学製品のグループです。この物質は親油性で、そうした性質のために、エンベロープ型ウイルスに効果があります。Quatsはウイルスのエンベロープと反応し、それを“破壊し”て、ウイルスの中身が外に漏れだし分解するに至る、と考えられています。さらに、この化合物に対してウイルスが耐性持つことを示すような証拠はほとんどありません(15)。複数の研究によれば、quatsはSARS-CoV-1に対して効果があると示されていて(16)、また、世界保健機関(WHO)は、コロナウイルス感染症2019に関係する研究室の生物災害管理ガイドラインの中でこの化合物を含む洗剤を使うように勧めています(17)。
スクーバ業界で器材を消毒するのによく使われている4級アンモニウム化合物を含有した製品は複数あります。しかし、こうした化合物は環境に有害なので、その使用と廃棄には注意が必要です(18)。
漂白剤、すなわち、次亜塩素酸ナトリウムは、多数のさまざまな濃度での研究がなされていて、ウイルスに対する効力も実証済みです。強力な酸化剤で、ウイルスのゲノムを傷つけることで作用します(19)。WHOによれば、一般的な消毒に推奨される漂白剤溶液は、5%の次亜塩素酸ナトリウムを1:100に薄めたものです。(漂白剤のブランドによって有効成分の濃度が違うことに注意してください。たとえば、液ハネをへらすために濃縮して市場に出されているものなど。)このように希釈すると、有効成分が0.05%、すなわち、500ppmになり、溶液に物体を漬ける場合は30分つけておく必要があり、穴が少ない表面にスプレーする場合は少なくとも10分必要になります(20)。SARS-CoV-2を具体的に調べた研究では、硬くて穴の開いていない表面にスプレーして感染力を低下させるのに必要なのは、0.1%、すなわち、1,000ppmの漂白剤濃度であったことがわかりました(21)。同じウイルスに行った2つ目の研究では、0.1%の次亜塩素酸ナトリウムは1分でこのウイルスを不活性にすることがわかりました。SARS-CoV-1に関する研究の一つでは、1:50(0.1%)と1:100(0.05%)のどちらも5分漬けるとウイルスが不活性化することがわかりました(22)。
漂白剤を使う場合、グローブ、マスク、アイプロテクションを使うようにしてください。溶液は、換気の良いエリアで行い、冷水を使います。お湯だと活性成分が分解するからです。漂白剤は別の化学物質と決して混ぜないこと、また、有機物は消毒すべき物品からすべて除去することが重要です。というのも、それによっても、活性成分が不活性化されるからです(21)。漂白剤で消毒する物品は完全に淡水で濯ぎ、乾燥させてから使うようにしなければなりません。というのも、それによってステンレスが錆びますし(濃度がより高い場合)、粘膜や皮膚、目に炎症を引き起こすからです(20,23)。高濃度の漂白剤溶液も、生命維持用の器材に有害であることがわかっています。「ハートビルディング」の炭疽菌攻撃(注:2001年10月に炭疽菌の入った封筒が送りつけられた事件)の際に、金属疲労が生じ、いくつかの場合に、ホースが損傷されました。そうことで、こうした溶液はEPA部隊では、他の有効な代替品がある場合には、ダイビング器材に使っていません。
石鹸と水で手と表面を洗うのは、ウイルスから防御するのに最も有効な方法のひとつです。どのタイプの石鹸をつかうかは重要ではありません。石鹸と水で洗っても微生物は殺せませんが、物理的にそうしたものを表面から取り除くことができます。流水だけでも望ましくない物質のいくらかを表面から取り除く効果がありますが、しかし、石鹸は物理的に物質を皮膚から除去して水に流します(24)。
Divers Alert Network(DAN)には、手には石鹸と水が推奨されるのに、どうしてスクーバ器材にはうまくいかないのかという質問が来ています。石鹸と水は、上に記載したように、しっかりとした動作を組み合わせなければ完全な効果が得られません。石けん水にスクーバ器材を浸すだけでは、効果的な除染方法とはなりません。石けん水としっかりした動きが合わされば、理論的にいってより効果があるといえるでしょう。しかし、分解しなければ簡単には届かない部分がスクーバ器材にはあります。たとえば、レギュレータの内部です。吐いた息はレギュレータの内部を移動し、ダイヤフラムやレバー、その他の内部の表面と接するので、除染溶液にレギュレータを浸すのがよりよいやり方でしょう。
スクーバ器材を除染する有効成分や方法が何であれ、新型コロナウイルスに対する効果が明確であることが最も重要です。EPAの “List N” はSARS-CoV-1に対する効果が証明された商品を網羅してあり、それゆえに、SARS-CoV-2を殺菌するのにも有効だと思われます。合衆国以外では、現地の自治体は同じように登録された除染剤を持っていると思われます。個々の製品の使い方の説明を守れば、確実に効果が得られるでしょう。
製品メーカーが自社製品をEPAに登録していれば、その製品の使い方のリストを提出しているはずです。「リストN」に登録された製品が“スクーバ”を含んでいることはまずないでしょう;リストに挙げられている可能性があるのは、呼吸器やスクーバ器材に使われている素材でしょう。「リストN」から除染剤を選ぶ場合、その製品のEPA登録が問題の素材に使うことを想定しているかチェックすることが重要です。
水中呼吸機器のメーカーが一般的に推奨している製品の中には、フードサービスのみで使うものとしてEPAに登録されている4級アンモニア塩に分類されるものがあり、これは、現在のところEPA「リストN」に載っていません。EPAは、この製品をこうした素材や表面に使っても、SARS-CoV-2に対して効果があるとは考えていません。
消毒剤を選ぶ場合、SARS-CoV-2あるいは耐性の強いSARS-CoV-1のどちらかに対して効果があることが分かっている製品を使うことが最も重要です。自分の地域でEPAの「リストN」で指定された製品が手に入らない場合は、地元の自治体の農薬登録システムに相談して、登録殺菌剤のリストをもらってください。こうした製品を使う場合、消毒するにあたって、必ず使用方法に従い、指定された防護用品(グローブやアイプロテクトなど)を使ってください。登録製品が見つからない場合は、disinfection protocols outlined by the CDC.(CDCによる消毒プロトコル)を使ってください。
器材を消毒したら、器材を再び汚染させないように注意しなければなりません。収納するときに手で触るなどで汚染することがないようします。ダイビングショップのスタッフは、たびたび手を洗い、また、手を触れやすいエリア、たとえば充填ステーションなどを(この記事の“熱”のセクションで述べたように)定期的に消毒して、衛生状態を良好に保つようにします。
最後に、現在持っている緊急行動計画をアップデートして、スタッフやお客様がCOVID-19に感染する可能性も考慮したものにしてください。すべての消毒のプロトコルを明確にして、すべてのスタッフがそれを誠実に守るようにしてください。考える上で最も大事なことは、スタッフとお客様の健康と安全です。
何か質問があれば、RiskMitigation@DAN.orgまでメールしてください。
DANヨーロッパより、ダイビング活動を再開する際に注意すべきことをまとめた文書が発表されました(ダイビング事業者向け)。
以下より日本語版をダウンロードできますので、参考にしてください。
【COVID-19とダイビング活動】
原文はこちら
【COVID-19 and Diving Activities: 10 Safety Recommendations】
([Download the Document]からPDFをダウンロードできます。)
原文はこちら:【COVID-19 : Surface Survival Times】
COVID-19流行とその後のパンデミックによって、私たちが世の中にどう対応するかが変わってきています。この疾病の原因であるウイルスが様々な物の表面でどのくらい生き延びられるのかを知れば、ダイバーたちはこの感染リスクをよりよく理解し、コントロールすることができるでしょう。この記事で検討するのは、ダイバーが気になるもの、たとえば、器材や作業台、調理台の表面でウイルスがどのくらい生きのびるか、それに、今後の器材消毒の役割についてです。

レンタル器材の清掃、特に口や顔に触れた器材は、確実に清掃して安全にしておくことは、これまでも常に大事な習慣となっていました。COVID-19が極めて伝染性が高いという特徴を持っているので、これまで以上に消毒が欠かせないものになっています。専門家によればCOVID-19は通常の業務が再開された後も、ワクチンが開発されるか多くの人が感染するまで、感染が広がり続けるだろうと予想しています。ダイビング業界は、今、新型コロナウイルスの生存時間に関する最善の情報を集めて、それを毎日の消毒手順に取り入れなければなりません。
このウイルスの生存時間は、簡単に除染できないような表面、たとえば、布地などの表面を考える場合に重要になります。COVID-19を引き起こすこのウイルスの研究は現在なお進行中で、研究者たちは答を探すのに、類似のウイルスについての知識を新型コロナウイルスに当てはめざるをえません。これらは極めて密接に関連しているので、2003年のSARS流行の原因となったコロナウイルスが、現在のウイルスの代替えウイルスとして研究されています。他の代替えコロナウイルス、たとえばヒト・コロナウイルス229Eなども解析されています。
ヒト・コロナウイルス229Eは、プラスチックの上で2-6日、スチール、ガラス、ポリ塩化ビニル、シリコン、テフロンTM、セラミックでは5日、ラテックスで8日まで、アルミニウムの上では2-8時間生存することが分かっています。1SARSウイルスは、プラスチックの上で9日まで、金属で5日、紙の上で4-5日、木材やガラスの上で4日生き残ることが分かっています。1 COVID-19を引き起こすウイルスであるSARS-CoV-2の研究では、このウイルスがプラスチックとスチールの上で2-4日、銅の上では4時間まで、飛沫(咳やくしゃみからの)中では3時間まで、段ボールの上で24時間であることが分かっています。2
布地の上でSARS-CoV-2がどのくらい生き残れるかに関するデータはほとんどありません。最もよいやり方は、類似した構造を持つ感染性の媒体について手に入る情報を基にして推論されています。新型コロナウイルスは、エンベロープ型のウイルスで、つまり、ウイルス粒子、すなわち、ウイルスが身体の外に出た場合にとる形態ですが、それが脂肪層に包まれていて、感染する際にそれを保護しているということです。このエンベロープが傷つけられるとか、乾燥してしまうと、ウイルスは死滅します。オーエスキー病ウイルスはデニムの上で1日までは生存しないことが示されています。3
しかしながら、このウイルスとSARS-CoV-2の唯一の類似点は、両方ともエンベロープ型だということだけです。専門家は、ウイルスの生存は、織物の多孔性によると考えています。孔がたくさんある織物は、ウイルス粒子を捉え、乾燥させ、バラバラに破壊するのがずっと簡単だと思われます。また、ウイルスは自然の繊維では短い時間しか生存できないが、合成繊維では長く生き残るともいわれています。4 繊維の上での生存時間に関するデータが無いため、SARS-CoV-2が合成繊維、たとえば、BCDやウェットスーツなどの上でどのくらい生き残るかを見積もるためのエビデンスは残念ながら不十分です。
さまざまな表面の上で各種のウイルスがどのくらい生き残れるのかという時間については、現時点では、まとまった合意はなされていません。そのため、消毒は — ソーシャルディスタンスを守るといった他の実施課題もあわせて— レンタル器材を使うダイバー同士のウイルス感染リスクを減らすのに依然として重要な役割を果たしています。