原文はこちら:【Dive Operations and COVID-19 : Prepping for Return】
※5/22現在
ダイビング活動とCOVID-19:復帰の準備をする
翻訳:DAN JAPAN COURTESY DAN US
よくある質問
ほとんどのダイビングビジネスが、全国規模あるいは地方レベルでの自粛要請によって営業を停止していますが、ダイバーもダイビング事業者もダイビングに戻れる日を心待ちにしています。自粛要請が、なんとか解除された時にダイビングを再開する準備をしておくのに早すぎるということはありません。以下のQ&Aは、ダイバーやダイブプロフェッショナル、ダイビングビジネスのオーナーから寄せられた質問を基にして編集したもので、誰もが安全に水に復帰するための準備を整えるのに少しでも力になりたいと考えて作成したものです。
誰にでも当てはまる基本的ルールをいくつかあげると以下のようになりますが、これは、どんな活動をするかにかかわらずスタッフにもお客様にも係わるものです。
•石鹸と水で少なくとも20秒、定期的に、手を隅から隅まで洗います。あるいは、アルコールベースの手指消毒剤を使います(酸素富化ガス、すなわち、ナイトロックスで作業している場合は除く)。
•人との間隔を少なくとも2m(6フィート)保ち、他の人に直接触れないようにする。
•目や鼻、口に触らないようにする。
•あなたとあなたの周囲の人が正しい呼吸器の衛生管理を確実に行うようにする。咳やくしゃみをする時は肘やティッシュで覆い、そのティッシュは決められた方法で廃棄します。
•CDC(アメリカ疾病管理予防センター) では、人との間に一定の間隔をとることができないような公共の場では布で顔を覆うことを推奨しています。その地域でマスク/顔を覆うことに関する指示がある場合には、それを確実に守ってください。
以下の勧告は、私たちの業界の現実を認識しつつ、できるだけ責任を持ち、かつ、安全を確保して、事業を再開できるようにするために考慮すべき事柄として考えられたものです。ひとつとしてまったく同じダイビングビジネスもダイビング業務もありません;それぞれの事業者にはそれぞれの考えがあるでしょう。もちろん、役に立つ情報を提供しようとは思いますが、すべての事業者がすべてのものを採用できるとは考えていません。そうではなくて、ダイビング事業者が、現実的に可能な方法を実施して、スタッフやお客様、そして事業そのものの安全を高めていただければ、と思う次第です。
スタッフとお客様を守る
スタッフをCOVID-19から守るにはどうすればよいですか
従業員に関しては、WHO(世界保健機関)やCDC(アメリカ疾病予防管理センター)が公表しているような、一般的なCOVID-19 安全勧告を適用してください。スタッフがお客様と直接接するような場合は、顔を保護するマスクやグローブを使うことを考えてください。一定の場所にいる人の人数を減らすことやスタッフ専用の場所を指定するというのもよいでしょう。コンプレッサーや器材メインテナンスエリア、レンタル器材エリア、事務所や教室については、一時的にお客様の立ち入りを禁止にして、ウイルスが拡がらないようにします。お客様には、一定の距離をとり、ダイビングが終わったら自分の器材を確実に消毒するようにしてもらってください。
お客様が施設でCOVID-19 に感染しないようにするにはどうすればよいですか
感染を完全に防ぐことはできませんが、感染予防の基準を設け、それを実施することで確実にリスクを下げることはできます。以下のものがすべてだというわけではありませんが、しっかりした除染方法を作成し実施する、お客様がお互いに密集しないようにする、建物内の空気の流れる量を少なくする(空気中に浮遊するウイルスの飛沫が回らないようにするため)、そして非常に重要なのは、お客様にいろいろ尋ねて調査してから、トレーニングセッションやダイビングに参加させる、などがあります。症状があるお客様には、ダイビングや関連する活動には一切参加していただかないようにします。除染の方針をはっきりと掲示し、お客様が実際に活動に参加する前に、確実にそれが周知されているようにします。
お客様がいらっしゃる前に何かお願いしておく方がよいでしょうか
たった一人感染者がいればウイルスは拡がります。お客様は自分が感染していることがわからないかもしれませんし、感染者と接触したことを否定する、あるいは、たいしたことがない症状だからCOVID-19とは関係ないと考えるかもしれません。ですから、少しでも具合がよくないところがあるかどうか尋ね、もしあれば、自宅にいるように勧めるか、あるいは、お医者さんにいくように勧めることが重要です。払い戻しや予定の変更なども考えなければならないかもしれません。また、尋ねてくる人たちを、ダイビングや関連する活動に参加する人だけに制限する必要があるかもしれません。
ダイブセンターにいるお客様の間の間隔を空けておけば、ウイルスの感染は防げますか
一定の間隔を空けることは必要ですが、COVID-19の感染を防ぐには、それだけでは十分ではありません。一定の間隔をあければ、人と人の間での感染を少なくすることはできますし、マスクを使えばさらにリスクを下げられるでしょう。お客様は、器材や商品に触るでしょうから、グローブを用意し、正しくそれを使うようにすること、それに、手指消毒剤や手洗い設備を用意することも必要になるかもしれません。また、店舗エリアの在庫や物品を減らすことも考える必要があるかもしれません。というのも、そうすれば除染が必要な量が少なくなるからです。
教室での活動を安全に実施できますか
距離を空けての学習やeラーニングを提供できるなら、お客様とスタッフの間でのCOVID-19の感染リスクを減らす方法として適切です。それができないなら、教室の設定を変えて、一定の距離を空けるという条件を満たすように考えてみてください。受講生にマスクをつけるように、また、クラスでの活動の前後に手を洗うようにお願いしてください。クラスでの活動で、器材を使う場合、受講生が使うときにはその度に必ず除染するようにします。机や椅子は、毎日、あるいは、違う受講生が使う場合には必ず除染します。ショップに来そうな人には、受講生も含めて、質問をして、症状がないこと、それに、感染者と接触したことがないことを確認してください。
ダイビングショップのエリアで、一時的に閉鎖する、あるいは、お客様に使用させないようにした方がよいところはありますか
更衣室には、高い汚染のリスクがあります。お客様の持ち物(衣服も含む)は、共用している表面と接触しないようにして収納してください。ロッカーに入れるなら、ロッカーは使用後必ず消毒しなければなりません。できるだけ接触のリスクをなくすために、自分の持ち物をビニール袋に入れるようにお客様にお願いすることも考えてください。浴室も特に注意すべき場所で、定期的に除染するようにします。シャワーは一時的に閉鎖して、ホースを取り付け、外で器材を洗うようにしてもよいでしょう。お客様には、自宅でシャワーを浴び、器材を洗うようにお願いします。
除染
ダイビングショップで、どのように除染作業を行えばよいのでしょうか
除染作業は既存の作業手順に追加するようにしてください。この手順は、その地域、自治体、国の除染に関するガイドラインに従います。また、スタッフは、除染のプロトコルに関して完全なトレーニングを受けさせてください。業務でよく触る表面がどこかを見つけ、こうした場所を定期的に確実に除染します。たとえば、浴室やカウンター、ドアノブ、スタッフやゲストがよく触るような他の表面ですが、ここだけに限られるわけではありません。
どの除染剤を使うにせよ、メーカーの指示する使用方法を守ってください。その後に、きれいな水で十分に濯ぎ、器材が完全に乾いてから使用します。除染剤の選び方に関する、さらに詳しいことは、以下を参照してください。 Disinfection of Scuba Equipment and COVID-19(スクーバ器材の除染とCOVID-19)。
アルコールベースの消毒剤は、酸素富化(ナイトロックス)ガスと両立しないことに注意してください
アルコールベースの手指消毒剤を使ってからタンクの充填をする場合は、手が完全に乾いて、アルコールが全て蒸発していることを確認してください。
器材は除染するのがよいですが、特に、顔や目、口に接触するものは特に除染が必要です。除染する器材には、以下を含みますが、それだけに限られるわけではありません:
•セカンドステージレギュレータのマウスピースと内部の表面
•スノーケル
•BCDのオーラルインフレータ
•マスク
どの除染剤を使うにせよ、メーカーの指示する使用方法を守ってください。その後に、きれいな水で十分に濯ぎ、器材が完全に乾いてから使用します。除染剤の選び方に関する、さらに詳しいことは、以下を参照してください。Disinfection of Scuba Equipment and COVID-19(スクーバ器材の除染とCOVID-19)。
ダイブセンターで除染する必要がある表面はどこでしょうか
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は、よく触る表面はすべて除染するように勧めています。ダイビングショップでは、こうした場所には、ドアノブや浴室、カウンター、カード読み取り機、充填ステーション、器材組立台、共用のツール、コンピュータのキーボードとマウスなどがありますが、これだけに限られるわけではありません。どの除染剤を使うにせよ、メーカーの使用上の注意を守ってください。
どの除染剤を選ぶべきでしょうか、また、どのように使うべきでしょうか
除染剤の選び方はあなた次第です;しかし、COVID-19を引き起こすウイルスに対して効き目があることが示されているものを使わなければなりません。EPA(アメリカ環境保護庁)の“リストN”は、このウイルスを殺す除染剤を網羅しています。どの除染剤を使うにせよ、メーカーの指示に従ってください。というのも、濃度と使用時間が製品によって違うからです。詳細については以下で分かりますhere。
新型コロナウイルスを殺すのに器材をどのくらいの時間除染剤に漬けておくべきでしょうか
これは、どの除染剤を使うかによるとしかいえません。除染剤を選ぶための詳しい情報については Disinfection of Scuba Equipment and COVID-19 (スクーバ器材の除染とCOVID-19)を見てください。
70%のアルコールはスクーバ器材の除染剤として効果がありますか
「世界保健機関:WHO」によれば、70%のアルコール溶液に1分間接触させれば、新型コロナウイルスは不活性化しますが、これは、この時間の長さ表面を濡らしておかなければならないということです。しかし、イソプロピルアルコールは、繰り返し使うと、ある種のゴムやプラスチックを劣化させる可能性がありますので、メーカーに問い合わせて、使っても器材が劣化しないかどうか確かめるように勧めます。さらに、熱や火気、スパーク、エンリッチドガスの近くでアルコールを使う場合、アルコールは揮発性と可燃性が高いので、火災や爆発の危険性が高くなることに注意してください。
器材を除染するのに熱やお湯を使うことはできますか
理論的にいえば、熱は新型コロナウイルスを殺すのに効果的です。しかし、残念ながら、スクーバ器材に付着したウイルスがどのくらい生存するかに関して実施された研究があるとは聞いておりません。熱を使う方法は、時間的な効率からいって最もよい方法とはいえないかもしれません。ある研究によると、華氏140-155度(60-68℃)の間の温度なら30-60分でウイルスは不活性になるとされています。スクーバ器材をこれだけの時間、この高温にさらすのは、いくつかの理由から、あまりよくないように思われます— ひとつには、部品の一部がダメージを受ける、あるいは、変形するというもので、もうひとつは、専用の湯せん器を使うか、その時間温度を一定に保つように常に監視し加熱システムを調整しなければならないからです。
新型コロナウイルスを殺す温度を確定するために行われた研究はかなりの数に上ることにも注意しなければなりません。先に挙げた温度は、テストされた範囲の下限として選ばれていて、この数値は科学界で一般的に受け入れられている、60℃でほぼ1時間という除染方法とかなり合致しています。
感染管理:感染が拡がらないようにする
コロナウイルスは、各種の素材や表面でどのくらい生存しますか
SARS-CoV-2、すなわち、COVID-19を引き起こすウイルスに関する研究は、現在なお進行中で、専門家たちは、似たようなウイルスについての知識を用いて答を探さざるをえなくなっています。ヒトコロナウイルス229Eはプラスチックの上で2-6日、スチールやガラス、PCV、シリコン、テフロンTM、セラミックの上で5日、ラテックスで8時間まで、アルミニウムの上で2-8時間生きられることがわかっています。SARS-CoV-1ウイルスは、プラスチックの上で9日、金属で5日、紙で4-5日、木材やガラスで4日生き残ることがわかっています。SARS-CoV-2の研究では、プラスチックとスチールの上で2-3日、段ボールで24時間、銅で4時間、飛沫(咳やくしゃみによる)の中で3時間まで生き残ることがわかっています。繊維の上でどのくらいSARS-CoV-2が生き残れるかについてのデータはほとんどありません。除染はたとえば、一定の距離を保つといった行動も併せて行えば、レンタル器材を使っているダイバー間でのウイルス感染リスクを下げるのに重要な役割を果たします。さらに詳細については、以下を参照してください。 COVID 19: Surface Survival Times(COVID-19:表面で生き残る時間)。
COVID-19は水から感染しますか
感染するなら、そのリスクは水のタイプによって違いますか。つまり、水泳プール、自然の淡水/海水、器材洗浄用の容器などで違いますか。除染剤を水に加えると、ウイルスは不活性にすることができますか。一般のハンドスープを器材洗浄用の容器に入れるのはどうでしょうか
共用器材で使う洗浄用タンク内で新型コロナウイルスが感染するかどうかはわかっていません。しかし、他のコロナウイルスでの研究では、ウイルスが湖や河川の表面水で十分生き残ることがわかっています。この研究を念頭において考えれば、このウイルスは洗浄用容器内で生き残るし、薄められるとはいえ、感染力は残ると考えた方がよいでしょう。CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によれば、このウイルスは適切に処理された水泳用プールでは不活性になると考えられますが、水泳プールで器材を洗うのは除染の方法としては受け入れられません。
除染溶液は、メーカーの指示を守って使わなければなりません。また、この指示には、具体的な希釈の要件や、除染した品物を十分濯いで乾かすように指示する説明も入っているのが普通です。ですから、除染溶液は、きれいな水の洗浄容器とは別に、混合して使うようにしてください。この場合、最もよいやり方は、ダイバーに器材を除染してもらってから濯いでもらって、洗浄水が汚染されないようにすることです。ハンドソープは除染する選択肢としては使えません。「合衆国環境保護庁(EPA)」には、“リストN”といわれる、このウイルスを殺す除染剤のリストがあります;除染剤は、このリストからか、他の地方自治体に登録されていう除染剤のなかから選ぶようにしてください。
保護グローブを使うと、用具や表面が汚染される可能性が小さくなりますか
保護グローブを使って保護されるのは、それを着用している人の手だけです。環境やそこにいる他の人たちを保護することはありません。用具を扱っている人には役に立つでしょうが、もしウイルスがグローブの外側にあれば、用具類が汚染されないように保護してくれることはありません。
スタッフやダイバーに、アルコールベースの手指消毒剤を使ってからタンクを充填する、あるいは、レギュレータやリブリーザーをタンクに接続するように求めるべきでしょうか
アルコールベースの手指消毒剤は石けんと水が手に入らない場合にだけ推奨されるものです。アルコールベースの物質は器材のあるものと接触させるべきではありません。たとえば、酸素富化空気(ナイトロックス)で使われるタンクや充填ホースなどです。それによって、火災や爆発のリスクが高まります。アルコールの揮発性が高いのと、比較的低温でも引火する性質のためです。
ダイビングセンターを午後8:00に閉めて、翌朝午前8:00に空けるとすると、表面や床についているウイルスはこの時間で不活性になるでしょうか
いくつかの研究によれば、新型コロナウイルスは、ほんの数時間生き残るというのもあれば、9日間の長さまで表面で活性の状態を保つようだというのもあります。どれほど生き残れるかは、状況によって違うでしょう(たとえば、表面のタイプ、温度、湿度)。複数の研究によれば、このウイルスは、簡単に手に入る製品を使った単純な除染方法で不活性にできることが明らかにされています。夕方、事務所を出る前に除染を行っておくようにするとよいでしょう。
器材とダイビング活動
レンタル器材は、レンタルして使うことができるでしょうか
引き続き器材のレンタルは可能ですが、これまで以上の注意が必要です。以下に注意点をいくつかあげますが、これだけに限られるわけではありません:
•レンタルエリアへの出入りを制限する:レンタル器材を外でお客様に渡す。
•戻ってきたレンタル器材を完全に消毒する。その際、選んだ除染剤の使用方法に従う。これには、レギュレータのセカンドステージ、BCD、ウェットスーツ、スノーケル、マスクも含まれます。きれいな水で完全に濯ぎ、乾かしてから、次に貸し出します。
•レンタル器材の返却は別の場所にして、すでに除染してある器材が汚染されないようにします。
•お客様に、スクーバユニットを組み立てる際と外す際に、タンクバルブの出気口とレギュレータの入気口に触れないよう注意します。別のやり方として、事前に組み立ててあるレンタル機材を提供することを考え、ダイビング後、器材を取り外さないように注意するという方法もあります。スタッフが手を消毒してあるか、グローブをしていれば、これによってタンクバルブの出気口とレギュレータファーストステージの入気口を汚染しないようにできるでしょう。
•使用済みのレンタル器材を扱うスタッフに、正しい除染方法と自分を守る方法を指示します。
•お客様が何日か一緒にダイビングをするなら、レンタル器材にラベルをつけます。そうすれば、お客様はいつも同じ器材を使えます。これ以外に指摘されている勧告も引き続き適用されます。
レギュレータを貸し出す際に、お客様一人一人が自分専用のマウスピースを使わなければならないのでしょうか
ダイバーひとりひとりに専用のマウスピースを使わせるのであれば、それによってある程度汚染されるリスクを下げられるでしょう。しかし、吐いた息はセカンドステージに入るでしょうし、レギュレータ内部を汚染する可能性はあります。正しく除染されていなければ、このレギュレータを使う次の人が感染するかもしれません。一人一人が別のマウスピースを使うのに加えて、正しい除染を行わなければなりません。
新型コロナウイルスは、BCDのブラダーの中で生きていられるのでしょうか
オーラルでの給気に関するDANの勧告はどんなものでしょうか
BCDのブラダーの中でこのウイルスが生き残れるかどうかは分かっていません。ダイバーに対しては、レンタルのBCDにオーラルで息を吹き込まないように注意してください。吹き込むと、ブラダー内部が汚染されるリスクが高まるからです。
口で給気したBCDは、ウイルスが生存すると予測される期間、できればサービスから外すことを考えてください。こうすることで、ダイバー同士の感染リスクを小さくできるでしょう。また、用心深い方法として考えられるのは、BCDから優しく空気を放出するようにするというものです(口で空気を入れた場合)。というのも、このウイルスは、理論的にいえば、潜降しようとしてBCDから空気を抜くと、BCDから出る水滴とともに噴霧されるかもしれないからです。
BCDの除染に関して、最もよいやり方はBCDの外側を完全に除染し、かつ、口で給気をしないことです。BCDのブラダーの除染に関する勧告については、明確なものはありません。除染溶液を使用する場合は、その後で必ず淡水で濯いで活性成分を取り除いてください。こうすることで、除染剤を吸い込むとか、飲み込むことがないようにできますし、時間が経ってから活性成分によって器材が劣化することも防げます。BCDブラダー内部の除染溶液の残りを吸い込んだり飲み込んだりすることでダイバーの健康に影響があるとか、あるいは、ブラダーの素材に悪い影響があるかどうかは、はっきりしていません。
お客様がダイビングマスクや他の器材を試してみたいという場合にどうするのがよいでしょうか
マスクや他の器材で、お客様が手にしたものがあれば、適切に除染し、淡水の清潔な水で濯ぎ、乾燥させるようにしてください。特にダイビングマスクの場合は、アルコールや他の除染剤で拭くという方法を使ってもよいでしょう。ウェットスーツは試着させないようにしてください。しかし、どうしても試着する必要があるなら、試着した後に貸出用の在庫から外して、9日間保管してウイルスが自然に死ぬのを待ちます。
コンプレッサーを動かす場合、タンク内の圧縮空気が汚染されている可能性はありますか
新型コロナウイルスが充填したタンク内に入り込むことはあるのでしょうか
新型コロナウイルスは非常に小さいので、コンプレッサーのフィルターをすり抜けてコンプレッサー内部に入ることは理論的にはあり得ます。コンプレッサーは圧縮の各段階を通ると、150°F(65℃) 以上に空気を熱します。さらに、各段階で、ピーク(圧縮の際に生じる近似断熱加熱による瞬間温度)は、シリンダー内部で少なくとも360°F(182°C)になり得ます。これは、コンプレッサーが冷たいか暖かいかに係わりません。ですから、これは複数回生じます。この温度は、感染力を除去するのに十分なだけ高温です。ですから、充填時に生きているウイルスはスクーバタンク内には入らないはずです。しかしながら、感染者が充填ホースやタンクバルブに触るなどして、汚染されていれば、タンクに入る可能性はあります。このため、手洗いの励行と、タンク置き場や充填ステーションも含めて、よく手を触れるエリアの除染が重要になります。詳細については、Disinfection of Scuba Equipment and COVID-19(スクーバ器材の除染とCOVID-19)の“熱”のセクションを参照してください。
ダイビングボートの運航において、COVID-19の感染を防ぐためにどのような行動を考えるべきでしょうか
この状況は、狭い空間で人が混雑するために、感染のリスクが高い状況だといえます。最低でも、以下の提案を考慮してください:
・一艘のボートに乗船するダイバーの数を減らして、ソーシャルディスタンスを守れるようにし、ダイバーでない乗客は乗らないようにする。
・ダイビング活動や安全のために必要としない物はすべて、船に積まないようにします。
・すべての器材を積んでから、ダイバーに乗ってもらうようにします。
・スクーバユニットを組み立ててもらってから、ダイバーに乗船してもらいます。
・マスクやスノーケル、セカンドステージ/マウスピースをビニール袋などでカバーして汚染されないようにします。
・乗船の手順は、常にソーシャルディスタンスを守って整然と行ってください。
・ダイビング前にマスクを洗うバケツは使わないようにします。曇り止めを使い、唾でマスクの曇り止めはしないようにいうか、禁止します(特に、レンタルマスク)。レンタルをするのはやめて、ダイバーが自分のマスクを使うようにさせることを考えてください。
・スタッフが器材を扱う時は、グローブをつけるようにします。
・ソーシャルディスタンスはウイルスの拡散を防ぐのに重要ですが、動いているボートや風の中では、ウイルスが長い距離動くかもしれないことを頭に入れておかなければなりません。マスクを使えば、汚染されるリスクは小さくなるでしょうが、ウイルスは船の上のどんな表面にもいる可能性があります。
・船の上の全員に、できれば何にも触らないように、また、顔を触らないように注意してください。
・ダイバーたちに、器材を共用しないこと、あるいは、自分の器材に触らせないように注意してください。
・ダイバーがエントリーする時、ソーシャルディスタンスを確保し、また、水面で一カ所にまとまらないようにします。
・水面やダイビング後に、鼻や副鼻腔、喉などをきれいにする時、少なくとも6フィート(約2m)空けておくようにダイバーに注意します。
・ダイバーがボートに戻るとき、ソーシャルディスタンスを確保します。
・ダイバー全員に前もって組み立てた器材を提供することにした場合は、乗組員がタンクを交換するようにし、また、交換する前に手を消毒するか、グローブを着用するようにしなければなりません。
・ダイバーたちが自分の器材だけを扱うように注意してください。
現場での規制で許可が下りた時に、ダイビング活動を再開する準備をするための情報をさらに知りたいなら、DAN.org/COVID-19 に注目して、より広範な勧告を確認し、再開の準備の参考にしてください。