【Medical FAQ/医療相談】2型減圧症発症後のダイビング復帰

【Medical FAQ/医療相談】2型減圧症発症後のダイビング復帰

◆相談内容◆

◆質問者:女性・24歳

以前、ダイビング時に水中で意識が遠のくような感覚に襲われ、力が入らなくなりました。
船上に戻った時には意識はあったものの、寒気と震えがあり、病院に救急搬送され、メニエール2型脊椎型合併減圧症と診断されました。当日から約1ヶ月間に全17回の高気圧酸素治療を受けました。
最終診察時に主治医より「完治ではなく後遺症という形になる。」と診断されました。

現在、日常生活も含めて健康状態は良いので、ダイビングを再開したいと思っていますが、減圧症治療後に引越したため、以前の主治医の病院に行けません。
どのようにダイビングを再開していけばよいでしょうか。医師の診断書等が必要でしょうか。どちらの病院にかかれば良いでしょうか。

◆医師からの回答◆

【減圧症の重症度】
重症減圧症では、適切に治療が行われても後遺症が残ることがあります。ただし、減圧症の治療を行っていると、再圧治療直後に治癒まで至らなくとも、その後に症状がなくなることも経験します。減圧障害の重症度の定義は、以下となります。

◎軽症減圧障害:以下の4症状が安定し悪化していない、もしくは少しずつ改善しているもの
 girdle pain(帯状痛)を含まない四肢痛
 全身症状(疲労感、倦怠感、吐き気など)
 神経支配領域に一致しない自覚的知覚症状
 皮膚症状
◎重症減圧障害:神経学的他覚所見、つまり運動麻痺や他覚的な知覚鈍麻などがあるもの

今回の質問者の「内耳型+脊髄型減圧症、再圧治療17回」という相談内容からは、重症度の高い減圧症であったことが推察されます。
「日常生活も含め、健康状態は良い」という現在の状況からは、少なくとも自覚症状は残っていないことがうかがえ、減圧症は幸い治癒した可能性も考えられます。
しかし、本人の自覚できないバランス障害や、神経症状が残っている場合もありますので、治癒したかどうかについて医師の診察が必要です。

【減圧症後のダイビング再開時期について】

減圧症が治癒した後のダイビング復帰時期について明確な決まりはありません。
一般社団法人日本高気圧環境・潜水医学会発行の教科書(第6版高気圧酸素治療法入門 p168)には、2型減圧症で複数回治療した場合の潜水待期は、治癒してから3ヶ月とありますので、ひとつの目安としてください。

【再開に必要な確認事項について】
ダイビング再開にあたっては「減圧症が治癒していること」を確認する必要があります。
今回の質問者の場合は、具体的には耳鼻科的診察、神経学的所見を中心に、治癒しているかどうか診察を受ける必要があります。

減圧症の既往がある場合のダイビング再開には、診断書を求めるダイビングショップが多いのではと考えます。DAN JAPANのサイト上のDD NET(ダイバーズ ドクター ネットワーク)では、潜水に関連した診察が可能な医師の検索が可能です。必ず事前に対応可能かどうかを確認し、受診するようにしてください。
▶DDNET:https://www.danjapan.gr.jp/service/medical/sddnet

-DAN JAPANメディカルチーム

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