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【Incident Report】グローブの穴で耳の圧外傷?

【Incident Report】グローブの穴で耳の圧外傷?

あわてたダイバーが浮力コントロールを失い、耳の圧外傷を経験

[報告されたケース]

私は、通常の圧縮空気を使用し水温10℃の海でダイビングする計画を立てていました。
水温が低いため、ドライスーツとドライグローブを着用していましたが、潜降中に片方のドライグローブに穴が開いているのに気づきました。
このトラブルを何とか解決しようとしていたところ、意図せず潜降してしまい、右耳が中耳圧外傷になってしまいました。さいわい、安全に浮力をコントロールして浮上することはできました。

[専門家からのコメント]

このケースは、ダイバーがよく過小評価する2つの要因から生じているようです。

まず、第1の要因は浮力コントロールです。
もしダイバーがトラブルを発見した時に中性浮力を保っていたならば、潜降し続けることはなかったでしょう。このケースのダイバーは重大な結果に至りませんでしたが、他の状況では悲惨な状況になっていたかもしれません。浮力コントロールされていない潜降・浮上のどちらも、最悪の結果につながる可能性があります。

さらに、第2の要因として、ドライグローブの穴を見つけようと対処していたダイバーは、混乱し、あわてていました。
本来であれば、このダイバーは写真撮影やダイビング器材の調整、海洋生物の観察をするように、トラブルにも簡単に対処できたはずです。「ダイバーは状況認識能力*1)を高めるべきです」という表現は、ありふれているかもしれません。しかし、このケースは、いつでも起きる可能性のある、些細な混乱が、マイナスの結果を生むことがあるという一例です。
*1)状況認識能力=situational awareness(SA) 周囲の現在状況を認識し、近未来における自分や周囲の状況を正しく予測/認識する能力

自動車の運転とダイビングの間に類似性を見出すことは合理的です。運転手は、目の前の作業を疎かにする「携帯で話す」、「メールを打つ」という行動を避けるよう、常に注意喚起されます。救急救命士として、私は注意散漫なダイビングのせいで悲劇的な結果に陥ったダイバーを多く見てきました。ダイバーは注意を怠ってはいけないのです。適切な浮力コントロールは、安全の為に必須のスキルで、練習と十分な意識の集中が求められます。

– Marty McCafferty, EMT-P, DMT

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