【Incident Report】水中での吐き気

【Incident Report】水中での吐き気

ダイバーが水中で吐き気を覚えて浮上
吐き気の原因は不明だった

[報告されたケース]

ダイバー数人が、いつも潜っているダイビングポイントで、水深40mへのディープダイビングをしていました。潜降中、水深25m付近で女性ダイバーが吐き気を覚え、一旦停止しました。彼女はバディに不調を伝え、ダイビングを中止することにし、10分以上かけて2人で浮上しました。他のダイバーには状況を伝えず浮上したため、他のダイバー達はそのままダイビングを続けました。

ボートでは、吐き気を訴えるダイバーに対して、症状緩和のためにスタッフが準備した酸素を供給しました。グループの他のダイバーはボートに呼び戻されることなく、20分以上経過してからダイビングを終了しました。全員がダイビングを終了しボートに戻った後、ボートは岸に向かって移動を開始しました。移動中、水中に魚の大群と遭遇したため、数人のダイバーはスノーケリングして魚を見たいとリクエストしました。船のキャプテンは、ダイバーの吐き気が改善しておらず酸素を供給しているので、短時間だけとの条件を付けて船を止めました。5分後、ボートは再び海岸に向かって移動を開始しました。

吐き気のあるダイバーは安静を指示され、港で様子をみていましたが、30分経過しても症状が改善しないため医療機関に搬送されることになりました。24時間経過を観察しましたが、身体状況は良好で治療の必要はないと診断され、退院しました。結果として、吐き気の原因は不明でした。タンク内の空気を分析しましたが汚染物質は検出されず、レギュレーターも検査しましたが問題はありませんでした。このケースでは、ダイバーは船酔いはしておらず、吐き気以外の症状もありませんでした。

[専門家からのコメント]

症状が出てすぐにダイビングを中止したことで、ダイバーとバディは安全に浮上し、すぐに症状について医学的な評価をすることができました。ボート上での酸素供給のタイミングも良かったと考えられます。しかし、ダイバーを岸に運び、医療機関へ搬送するまでに若干の遅れがありました。診察は、できるだけ早く受けるのが理想です。このケースのダイバーの症状は、船酔いやダイブプロフィールなどの明確な原因がない吐き気でした。ダイビングとは無関係な健康上の問題が疑われますが、それでもできるだけ早く診察を受けるにこしたことはありません。

タンク内の空気の分析は、汚染が症状の原因ではないことを確認するうえで役に立ちました。また、ダイバーの症状は悪化せず、治療の必要なく改善しました。今回のケースでは、吐き気の原因が不明なため、ダイビングを再開する前に健康診断を受けること、また、再度同様の症状が現れないことを確認しながらダイビングすることをお奨めします。

– Brittany Trout

TOP