【Medical FAQ/医療相談】高尿酸値症ダイバーのダイビング適正

【Medical FAQ/医療相談】高尿酸値症ダイバーのダイビング適正

◆相談内容◆

質問者:男性・40代

私は高尿酸血症で、太り気味の男性です。ダイビング適正についてアドバイスをお願いします。

◆医師からの回答◆

【高尿酸血症とは】
痛風、腎障害の原因ともなる、血液中の尿酸値が高い状態です。最近では、30歳以上の男性の30%以上に高尿酸血症が見られるとも考えられており、メタボリック症候群のマーカーともいわれています。生活習慣病(かつての成人病)と関連し、心血管系疾患の発症リスクも高いため、治療の対象となります。

【高尿酸血症とダイビング適性】
具体的な投薬内容はわかりませんが、高尿酸血症の治療薬は大きく以下の2つに分かれます。
1. 尿酸の作成を抑える薬
2. 尿酸の排泄を促す薬

それぞれ肝機能障害等様々な副作用がありますが、ダイビング上、特に着目すべき副作用は指摘できません。激しい運動は尿酸値を上げるので勧められませんが、軽い運動は、高尿酸血症の治療としてむしろ推奨されます。そのため、通常のダイビング活動は可能と思います。ただ、前述したように一定の心血管系のリスクは内在していると思われますので、その点をご自身がどのように考えるかでしょう。

ダイビング死亡事故の原因として、常に2割ほどを占めているのが心血管系疾患です。たとえば、軽い運動を行っている最中に心筋梗塞が発症した場合、それが陸上と水中では救命率に圧倒的な差が生じます。
また、運動適性が気になります。太り気味とのことですが、運動能力はどうでしょうか。高血圧などの合併はないでしょうか。

【DAN JAPANガイドライン】
DANJAPANのガイドラインでは、肥満も相対的に危険な状態と評価されています(運動能力低下、冠動脈疾患の危険因子のため)。

ダイビングに適切な運動能力として13METS(2,500m を12分で走れる能力)を求めています。実際にはこの基準は厳しすぎるとの指摘もありますが、一定の運動能力がダイビングには必要です。
DANJAPANガイドライン
そのあたりの観点から主治医と相談し、ダイビング実施の有無を考えることが良いと思います。最終的にはご自身がどの程度のリスクを受け入れるかに左右されると考えます。

―DAN JAPANメディカルチーム

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