【Medical FAQ/医療相談】降圧剤を服用してのダイビング

【Medical FAQ/医療相談】降圧剤を服用してのダイビング

◆相談内容◆

質問者:男性・50歳(インストラクター)

インストラクターです。主治医がダイビングに詳しくないため、DANに相談することにしました。

最近、高血圧予防の為、薬を服用するよう医師から指示されました。
「ミカムロ配合錠AP」という薬を朝食後に一錠飲んでいます。ダイビングを行って身体に影響ないか心配していますが大丈夫でしょうか。

◆医師からの回答◆

高血圧は心臓に負荷をかけ、結果として心不全、虚血性心疾患を引き起こす可能性(リスク)があります。ダイビング中には血圧が上昇しやすいため、血圧コントロールが求められます。また、心疾患はダイビング事故の死亡原因の13%を占めるというデータもあります。降圧剤には様々な種類があり、「ミカムロ配合錠剤AP」はカルシウム拮抗剤とアンギオテンシン受容体遮断薬(ARB)の合剤です。
http://med2.astellas.jp/corp/basic/details/mca/expmed/dip-mca-ap.pdf

降圧剤とダイビングの関連について、多くの情報はありませんが、以下の文献に記載がありますので参考にして下さい。
http://npominder.justhpbs.jp/newpage15_4.html

上の文献にもあるように、「ミカムロ配合錠剤AP」は比較的問題の少ない薬剤と思われます。
ただし、副作用の出現には個人差があるので、最近投薬を開始したのであれば、しばらく(例えば1カ月くらいは)内服を継続し、様子を見た上で(副作用の出現が無い事を確認した上で)ダイビングを行うことが良いと考えます。
薬の説明文にもあるように(1番目のリンク先参照)、ミカムロ配合錠剤APにも、呼吸器系の問題などが生じることがあります。

なお、DAN JAPANのガイドラインでは、「コントロールされた高血圧」は相対的に危険な状況(比較的危険性は低い)とされています。

DAN JAPANでは40歳以上のダイビング希望者について、冠動脈疾患の有無の検査(運動負荷試験等)をすることを推奨しています。質問者の運動能力(運動習慣)はいかがでしょうか。文献(2番目のリンク先参照)にもあるように、ダイビングには一定の運動能力が必要です。

このような状況を主治医とよく相談しながら、より安全な身体状態でダイビングに臨むことを期待します。

追記:
主治医がダイビングに詳しくないとのことですが、循環器の医師であれば、患者から通常の運動に関する相談を受けることは多いと思います。
ダイビング中は、
1. 血圧が上昇しがちなこと
2. 体の中心に血液が集まるので心臓の負荷が増加すること
3. 水中での虚血性心疾患発症は死亡事故につながりやすこと

を説明したうえで、アドバイスをもらうことが良いのではないかと思います。

―DAN JAPANメディカルチーム

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