【Medical FAQ/医療相談】急性肝炎後のダイビングについて

【Medical FAQ/医療相談】急性肝炎後のダイビングについて

◆質問内容◆

質問者:男性・42歳
急性肝炎に罹患し入院治療中です。血液検査の数値の最大値と直近値は以下です。

最大値 直近値
AST(GOT) 約2500 76
ALT(GPT) 約3500 164
T-BIL 約23 15.5
D-BIL 約18 12.8

血液検査の結果が良くなったら肝臓生検を受ける予定になっています。
血液検査にて正常値へ回復し、完治した場合、すぐに潜水可能でしょうか?
それとも期間を空ける必要がありますか?
また、肝臓生検後、検査結果に異常がなかった場合、いつから潜水可能でしょうか?
主治医へダイビングについて問い合わせる場合の注意点などはありますか?

◆DAN医師からの回答◆

◎急性肝炎とは?
急性肝炎の原因は、ウイルス性、非ウイルス性(アルコール性、自己免疫疾患等)があります。ウイルス性については、A・B・C・D・E型肝炎ウイルスが知られていますが、前3者でほとんどを占めます。
今回は情報が限られていますが、年齢からウイルス性急性肝炎A型との前提で回答します。
◎治癒した後のダイビングは?
治癒後のダイビングに関して急性肝炎特有の事情、注意点は特にありませんが、病気・入院により体力がかなり低下していることに注意が必要です。
ダイビングでは一定の身体能力が要求されており、十分に体力が回復されてからの復帰が望ましいと考えます。具体的には、DANのガイドラインでは13METS(12分で2500m走る)の運動能力が求められています。これは、かなり厳しい基準ですが、少なくてもジョギング程度の体力は必要です。
◎肝臓生検後のダイビングは?
生検にも種類がありますが、ここでは局所麻酔で可能な経皮的な方法として考えます。一般的には、生検そのものは30分程度で終了しますし、術後の安静は4-5時間程度かと思います。出血のリスクが一定あるので、生検後1週間程度は出張(遠出)、激しい運動は控えるように指示されることが多いのではと思います。ただし、生検そのものより、生検に至った病気に伴う体力低下のほうが、潜水できるかどうかに影響してくると思われます。

【今回の質問者のケース】
血液検査からすると、治癒まではもうしばらくかかりそうで、肝炎・入院により体力はかなり低下しているものと推察します。前述のとおりダイビングするにはジョギング程度の体力が必要ですが、おそらくは、完治直後では基準を満たすことは難しいと思います。生検による制約よりも、完治してから体力が復帰するまでの期間の方が長くなるのではと思います。
主治医に相談する場合、ダイビングは中等度の運動能力を要すること、医療機関から離れた遠隔地で行うことが多いこと、を伝えて下さい。そのうえで、どの時期から軽い運動が可能かを含めて、主治医によく相談され、徐々に運動能力を回復されることが良いと思います。
以上ですが、ウイルス性肝炎は、慢性化する場合があります。その場合は事情が変わってきます。
急性肝炎が治癒されることを祈念しています。

ーDAN JAPAN メディカルチーム

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